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November 12, 2006

距離計式のクラシックカメラ

Latitude Complex のニャん丸さんが銀塩のメカニカル・レンジファインダー機を購入されたとのことなので、私も久々にしまってあったレンジファインダー機を出してみました。何年ぶりでしょうか。

以前はかなり使っていたのですが、久しぶりに点検したところ新しい方のカメラのシャッターが残念ながら調子が狂っていました。古いほうのカメラはスローシャッターなら何とか行けるのでこれならまだ使える感覚です。

 

新しい方のカメラが写真奥のモノで、この当時はすでにライカM3が発売になっていた時期にもかかわらず、このタイプの製造されていました。これは IIIf(セルフタイマー付き)で、フラッシュ用のシンクロ接点とシューが付いています。当時は、フラッシュバルブで発光タイミングが遅くこのための発光のタイミング時間を設定出来る仕様となっています。この新しい方は、父が新品で購入したもので、50年近く経過しています。

古い方のカメラが写真手前のモノで、父が IIIf を購入前に中古で購入したものです。当時 IIIc だと聞いていたのですが、シリアルナンバーからは IIIa で 1938 年ごろ(うろ覚えです)の製造だと思います。これはほとんど70年経過しているクラシックカメラです。


 

これらは、沈胴式というレンズ鏡胴が本体に納まることで携帯性を向上させています(最初の写真は引き出している状態、上の写真は凹ました状態)。この方式はコンパクトで良いのですが、シャッターチャンスが突然来た時慌てて撮影するとこれを引き出すのを忘れることが有るので要注意です。

このカメラは、シャッターを切るまでのプロセス(儀式のようなもの)が多く、今のシャッターを押すだけの写真とはだいぶ趣きが違います。

このカメラで写真を撮る手順を簡単に説明いたします。

1.レンズキャップを取る/沈胴を引き出す
2.フィルムを巻き上げる。
3.露出を何かで決め(ほとんどは勘)絞り、シャッタースピードを設定する。
4.距離計窓で距離を合わせる。
5.ファインダー窓でフレームを決める。
6.シャッターを切る。

という手順です。

また、レンズを交換し 50mm 以外のレンズとした場合、ニャん丸さんのカメラやM型のファインダーのようにフレームを数種類内蔵してフレームが切り替わってくれるタイプではないため、ファインダーをカメラ上面のシューに取り付けるのでファインダーはそちらに変わります。

しかし、シューについたファインダーは、特に85mm、100mmなどの中望遠レンズでは、近い物を撮影する時にファインダーとレンズの位置が違うために起きるフレームのズレ(特に近い場所を撮影する時にはファインダーで見た場所より下側が写る:パララクス)を補正する必要があり、レバーでピント合わせで把握した距離に設定します。その後にフレームを決めるので、上記の5の作業は以下の様に増えます。

5-1.ファインダーのパララクス補正レバーを被写体までの距離に合わせる。
5-2.ファインダー窓でフレームを決める。


露出も当時のセレン露出計などは壊れ易かった様で家には無く、結局勘で取ることが多かったです。その後露出を表示してくれるカメラ(オリンパスなどのカメラ)で露出を見てライカで撮影といったこともありました。しかし、普通は ASA(今のISO)100 のネガカラーや白黒ネガの場合、露出は晴れなら f8 s1/125 ~ 1/250 曇りなら f5.6 s 1/60 でほとんど通し、とりあえずまともに写っていました。

このように、カメラの操作手順が多かったので、50mm 沈胴式レンズは沈胴の引き出し忘れたり交換レンズの場合はファインダーの見間違い(追加のファインダーで見ずに 50mm 用でみてしまう)やパララクス補正忘れなどが出やすく、思わぬシャッターチャンスの時は失敗が出やすかったカメラでした。また、レンズキャップも取り忘れても気付かないので、キャップをしている場合はこれを取る事も重要な作業でした。

なお、沈胴式レンズは常に引き出しておく、もしくはレンズキャップは常に外していれば良いと思われるでしょうが、当時の布引フォーカルプレーンシャッターではレンズのピントが無限遠位置で太陽光を受けた時、黒色の布シャッター幕が焼けてカメラを壊す恐れが有ったので念のためレンズキャップをしたり沈胴を凹ませていたりして不慮の事故に備えていました。ピント無限遠位置でレンズを上に向けて置いたりするのもかなり危険な行為でした(レンズの定位置は無限遠でした)。

シャッター幕が太陽光でやられる問題は、シャッター幕がメタルになったので解決したようです。なお、一眼レフはミラーが有るので、シャッターへの問題は有りません。

 

カメラ背面のそれぞれの覗き穴の左側がファインダーで右側が距離計左側が距離計窓で右側がファインダーです。

奥のカメラは、ファインダーと距離計ファインダーの2つが並んでいますが、手前のカメラはその2つがかなり離れています。なお、奥のカメラのシュー近くの丸い部分はファインダーではなく、シンクロ接点です。
距離計は二重像合致式でこれは、カメラ前面の間隔の離れた丸穴2個で距離を測定します(カメラ前面の四角い窓は 50mm レンズ用ファインダーです)。この間隔は有効基線長と言われ(直接の寸法か換算するかは不明です)この間隔が広い(有効基線長が長い)ほどピント合わせ精度に優れています。構造的に 50mm 以下の標準レンズ、広角レンズについては一眼レフでは有効基線長がかなり短いのでレンジファインダータイプは広角レンズのピント合わせに強いカメラです。しかし、一般に広角レンズほど被写界深度が深いのであまり問題にはなっていませんね。

なお、それぞれのカメラのファインダーには視度調整レバーが付いています。IIIf は巻上げレバー根元に、IIIa はファインダー部分にあります。


この形のカメラはとてもホールド性の良い大きさなので、後に出たオリンパスのM1(後のOM1)は、この IIIf とボディの横幅と奥行きが同じでした。ライカM型は一回り大きくまた発売当初の巻上げレバーは2回巻き上げ式でしたので、コンパクトでシンプルは IIIf 系のボディがM型発売後も継続して生産されファインダーがM型と同じようになった IIIg まで生産された後終了しました。

この形は通好みのスタイルだと思います。私もかなり好きなデザインです。

2006.11.13 edite: ファインダー窓の説明間違いを修正。

 
 
 
 
 

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Comments

ニャん丸さん、こんばんは。

> 基線長(実際の測距用対物レンズ間の距離)×ファインダー倍率

そうでしたか、ということで早速ファインダーを覗いて見またところ・・・・ (^^; ・・・ブログ本文のファインダー説明を間違っていたことに気付きました。早速修正 m(_ _)m

さて、距離計ファインダーは本体左側の窓で、倍率は1.3倍くらいでしょうか。このタイプの50mm 用ファインダーの倍率はとても小さいのですが、距離計は拡大になっています。M型はフレーミングファインダーは大きくなり距離計と一体型となりましたが、距離計の精度と言う意味では分離型のファインダーも意味がありそうですね。


98k さん、こんばんは。

ネガフィルムはラチチュードが広かったので、何とかなっていましたよね。学生時代大学の研究室に暗室があったので随分遊ばせてもらいました。しかし、おおい焼きなどはかなり手先の技術(熟練)が必要で私のような荒くれの(作業が雑になる)性格ではなかなか美しいプリントになりませんでした。

印画紙焼付けの暗室と言えば赤いライトでしたが、今なら赤色パワーLEDで自作出来ますね。

Posted by: イルミナム | November 14, 2006 at 00:16

おおっ、なつかしや・・・
といっても、ライカを持ってたわけではありません。
撮影手順、まさにそのとおりの作業をしてました。
絞りやシャッタースピードはもちろん勘で、
現像や焼付けをするようになってからは、
「あとは暗室で何とかなる」と、さらにいい加減に・・・
まあ、モノクロばかりだったので、
それでも何とか仕上がったんですねえ。

一度は使ってみたかったカメラです。

Posted by: 98k | November 13, 2006 at 22:40

おおっ!やはり、バルナック型ライカ!!!

イルミナムさん、こんばんわ♪

ふぅぅぅぅ…本当にカッコいいですよね!それにとっても綺麗で…とても50年前のカメラとは思えません。
それに沈胴式レンズも…ハァ~、ため息が出てしまいます。
現在の全自動(笑)カメラとは違い手間ヒマをかけて撮影しなければならないのは分かっていますが、「このカメラで撮りたい!」と思わせる何かがあります。
ライカのカメラは正規代理店や正規以外のライカ修理専門店で、ほとんど修理可能というのも、すごいことだと思います。
ひまぱのぱさんをはじめ、ライト好き兼写真好きな方に無理やりレンジファインダー機を薦めて(笑)、いつの日か『ライト好きレンジ倶楽部』でも作りたいですね♪
イルミナムさんのバルナックでのお写真を楽しみにしております。

P.S.

有効基線長…

基線長(実際の測距用対物レンズ間の距離)×ファインダー倍率だと思いますので、Ⅲの場合は基線長38.5mm×…す・すみません、持ってないのでファインダー倍率が分かりません(笑

Posted by: ニャん丸 | November 13, 2006 at 22:10

ひまぱのぱさん、こんばんは。

本当に味のあるカメラです。オーバーホールすれば普通に使えるようになるのですが少々値が張るので当分様子見です。

ライカもM8はデジカメなので、喉から手が出そうです。また、レンズのL→Mマウントアダプターを使うとレンズは使えますのでボディだけ買えば良いのですが、・・・ちょっとムリです(^^;

Posted by: イルミナム | November 13, 2006 at 00:14

オー、ノスタルジック。

お宝です。
操作は面倒であっても、所有する喜びと、写真を撮るという楽しみのあるカメラですね。(^^)

Posted by: ひまぱのぱ(p.himapa) | November 12, 2006 at 18:34

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