■ スピーカー特性の測定
今まで、iPhone と iPhone 用外付けマイクを使った簡易測定でしたが、新・秘密基地にマイクとマイク用アンプやケーブルなどを運び込んだのでスピーカーの周波数特性(f特)が測定できるようになりました。
という訳で、早速先日作ったタンノイ IIILZ +スーパーツイーターをリスニングポジションで測定することにしました。なお、処理するPCソフトとマイクの関係で高音側は 20kHz 程度までしか測定出来ないことと、部屋の低周波ノイズのため 50Hz 以下は精度が落ちています。また、12kHz 付近に大きいノイズとその他にも小さなノイズ(エアコンから?)がありますが、測定には影響はないと考えています。また、200 から 300Hz におそらく部屋固有と思われる鋭い凹みがあります。
タンノイ IIILZ +スーパーツイーターの結果は、下の図のように 2kHz 付近が大きく凹んだあまりパッとしない特性でした。

TANNOY IIILZ + PT-R7A 互換品
これは、低音用の回路(ローパスフィルター)が効きすぎている状況だと考えました。ツイーター側はあまり大きな口径ではないので、今回のクロスオーバー 1.2kHz より下げて使いたくないため、この凹みはウーハー側で対策することにしました。
方法としては、前回せっかく回路を再修正しましたが、それらを無いこととするため回路をバイパスするコードを追加しローパスフィルターをパスして 25cm ウーハーの高音を切らないことにしました。

ウーハーのローパス回路を省いたもの
特性はかなり改善され、音も良くなったように感じます。 500Hz から 1kHz あたりの中音域が盛り上がったようになったので分解の良い音に聴こえるようです。
なお、特性を見ると回路を加工して再設置した際、前回測定したスピーカーの左右が逆になったようです。古いユニットなので聴いた感じでは全く分かりませんが、少し特性に差が有るようです。
TANNOY IIILZ は特性が少々暴れていますが、音の反応が非常に良く JBL のような音がします。JBL の 4inch ダイヤフラムのホーンなどと比べると実体感などは明らかに劣りますが、2(1.75)inch ダイヤフラムのホーンとなら結構いい勝負をしそうです。
せっかく特性が取れるようになったので、DS-A5(改)と B&W PM1 の特性も IIILZ と置き替えて測定してみました。
DS-A5 は、ウーハーを焼いてしまい無理やり代替えウーハーに交換して DS-A5(改)とし、さらにツイーターの弱音装置兼ディフューザー(使わなくなったデーターCDを利用しています)を取り付けていますが、当初はCDの端がウーハーのフレームに乗っかってしまっていたので、その部分をニッパでカットし、見栄えを少し改善しています。
なお、DS-A5 は、写真ではオーディオラックの上に乗っていますが、実際のそれぞれの特性測定は、周囲には他のスピーカーを置かず、全て同じスピーカースタンドに乗せて同じ向きにして測定しています。

IIILZ と DS-A5(改)
DS-A5(改)のf特はかなり綺麗です。

DS-A5(改)
B&W の PM1 は DS-A5 をダメにしてしまったので、自作スピーカーばかり聴いていてとんでもない音なっているのに気付かずにそれに慣れてしまうといけないので、耳をリセットするためのリファレンス用です。ウーハーは小径の 13cm(DS-A5 とほぼ同じ)で回路はシンプルな -6dB/oct です。小口径ながら 100Hz 以下の低音が十分で量感が良く出ます。なお、50Hz 以下の重低音は DS-A5(改)よりも出ない感じです(今回測定したf特では差がないように見えますが測定精度の低い部分のためと思われます)。
なお、PM1 の写真は、以前に撮影したもので、特性測定時は、IIILZ、DS-A5(改)と同じ条件(オーディオラックが有る状態)で同じ向きで行っています。

B&W PM1
f特は -6db/oct だということを表しているかのようにウーハーとツイーターのつなぎ目がハッキリ分かります(公称クロスオーバー値は 4kHz です)。
PM1 の音はとても美しく、特にクラシックの編成の大きいオーケストラがとても良く聴こえます。その他の音源も全てがとても美しい音で再生されます。
今回測定したf特を比較すると、f特のフラットさと音の聴こえの良さにはあまり関係がないということが良く分かります。
■ オーディオラックの製作
新・秘密基地は狭いにも関わらず、プリアンプ・パワーアンプ・音源用のノートPCを床に直置きして場所を取っていたので、上に重ねることにしました。
パワーアンプとプリアンプはあまり近づけない方が良いようで、確か大昔に読んだ YAMAHA の説明書にパワーアンプはプリアンプから 20cm 以上離すようにと書いてあったような気がします(うろ覚えです)。
ということですが、上に 20cm 空けるのはスペースがあまりにもったいないので、そこそこ広くという程度で作りました。ラックなどで音が変わると言われますが、それは単純にラックの板が鳴ったり空間での共鳴のためだと想像しているので、21mm のシナ合板を使い、共鳴空間が出来にくいように背の高い側板には大きな穴を明けています(上の IIILZ と DS-A5(改)の写真をご参照ください)。

まるでスピーカーBOX用の素材のようです

設置したところです。
ラックは下向きコの字型にクギと接着剤で固定していますが、1段ごとに独立しています。このため、2段目は下向きコの字をただ乗せて重ねているだけです。
これは、予定通りの作業でした。側板の固定のクギ打ちでクギが曲がって入ると側板を押し出してしまい固定位置が狂うので、少し慎重に作業したのですが、結局少し曲がっています。まぁ、いつもの荒くれ作業なのでこんな調子です (^^;
■ まとめ
今回のf特測定では、なんと DS-A5(改)がもっとも綺麗なグラフになりました。しかし、グラフの綺麗さと音の良さは比例しないので、それぞれのスピーカーがそれぞれの特長を持ってそれぞれの音で鳴っているということが良く分かりました。
オーディオラックは無難に完成し予定どおりでした。
■ おまけ
今回比較した3つのスピーカーは、ジャズなら圧倒的に TANNOY IIILZ、クラシックの大編成のオーケストラなら圧倒的に PM1、他では聴こえない重低音が何となく聴こえ、POPS が気楽に聴けるのが DS-A5(改)、という感じですが、f特では当然これらの違いは全く分かりません。しかし、IIILZ のf特の大きな凹みが分かり改善出来たのでf特測定はその意味では有効な測定であったことを再認識しました。
IIILZ は弦楽器が良いと言われますが、今回作ったBOXとの関係なのか少し一般的に言われている鳴り方とは違うようです。しかし、モニターゴールドという名前の通りモニタースピーカーとして音の分解や定位など素晴らしくオーケストラでトランペットが2人(もしかしたら3人)が横に並んで吹いているのが分かるようでこれはこれで凄いことです。音源によってはオーケストラの弦楽器の合奏で何かザラザラするような音の重なりも聴こえ、コンサートホールの前列で聴いているような感じにもなります。
IIILZ はBOXやネットワークも模索しながらの作製ということもありネットワーク回路は紆余曲折しましたが、とりあえず回路はこれでまたしばらく様子を見ようと思います。
ただし、IIILZ は女性のボーカルが音源によっては音量を上げた時に中音が少し響くことがあり(f特を見ながら音楽再生してみると 700 から 800Hz 付近が少し強い)、どこかで何かが共振しているみたいです。箱鳴りが一番怪しいとにらんでいますが、この対策も今後考えて行きたいと思います。
しかし、音楽を楽しく聴かせてくれるという意味では IIILZ は完全にクセになる音で、このところ IIILZ ばかりで聴いています。 BOXが大きく、他のスピーカーに入れ換えた時、置き場に困るということもあるのですが・・・ (^^;
次回は、未定です。
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